心臓病と高齢者 ~意識調査からわかる心臓病への理解と対応~vol.2 「心疾患は、早期発見が大切。定期的検査がカギに。」
生活の充実には、からだの健康がいちばん大切。高齢者の皆さんの多くは、そう考えています。そして、からだの健康のために特に大切な臓器、といえるのが心臓です。しかし、からだの健康に大きな影響を与える心疾患についての十分な情報は、得られているでしょうか。
エドワーズライフサイエンス株式会社(以下、エドワーズ)では、全国47都道府県の65歳以上の高齢者と介護者計1600名を対象に心臓病のリスクと負担に関する2つの調査「心臓の健康に関する意識調査」と「高齢者の生活充実度指数調査」を実施しました。
そこから見えてきたのは、高齢者の皆さんは、動悸や息切れを感じても、「治療が必要なほど深刻ではない」と症状を軽く見てしまうような傾向です。
「心臓弁膜症」は、心不全の重大なリスクファクター。
心臓に起こる病気にはさまざまなものがありますが、私たちがよく目にする「心不全」は、実は病名ではなく、心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。
この心不全を引き起こす大きな要因のひとつが「心臓弁膜症」です。心臓は、拡張と収縮を繰り返すことで全身に血液を循環させるポンプのような働きをしています。心臓には、右心房・左心房、右心室・左心室の4つの部屋があり、右心室と左心室の入り口と出口には、血液の流れを一定方向に維持し、逆流を防ぐための“弁”があります。
この弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態が「心臓弁膜症」です。「心臓弁膜症」は弁の開きが悪くなり血液の流れが妨げられる「狭窄」と、弁の閉じ方が不完全なために血液が逆流してしまう「閉鎖不全」の2つのタイプに分けられます。
「心臓弁膜症」はゆっくりと進行しますが、症状がではじめると急速に予後(病気の経過の見通し)が悪くなることがあり、そのまま放置しておくと心不全になる可能性があります。だからこそ、症状を見逃さずに、早期に発見することがとても重要です。
しかし、今回の調査結果からは、高齢者の皆さんは息切れや動悸などの心臓からのサインを軽く見てしまうことが多いことがわかりました。動悸や息切れを感じていても、多くの高齢者の皆さんは「治療をしなくても命には関わらない」と考えています。治療を受けた、または受ける予定のある高齢者の、約半数が「症状が日常生活に影響を及ぼしはじめてから治療を求めた」と回答。病気が進んでしまってからの受診となっていることがうかがえます。また、症状があり診断を受けていない人の6割強は、診断を受けない理由として「治療が必要なほど深刻な症状ではない」としています。
定期的な検査が、早期発見への第一歩。
重要かつ最も一般的な診断方法は、「聴診」です。聴診は、受診者が身体的な負担を感じずに心臓の不具合の最初の兆候をキャッチできる貴重な機会なのです。
息切れや動悸などの症状や、「疲れやすいから出かけなくなった」「息切れがおさまらないから階段を使わなくなった」など行動の変化があったり、「つらいな」「しんどいな」と感じることが増えたりしたら、かかりつけ医に相談して、心臓の音を聴いてみてもらいましょう。
また、気になる症状や行動の変化が見られなくても、かかりつけ医などで定期的に聴診を受けましょう。病気の早期発見につながるかもしれません。
「心臓弁膜症サイト」心臓弁膜症チェックシート
こちらでは、簡単に心臓病(心臓弁膜症)のセルフチェックをおこなえます。
ぜひ、自分のからだの変化に気づくきっかけとしてお役立てください。
【心臓の健康に関する意識調査】について
対象:全国の高齢者65~80歳の男女800名、介護者:65歳以上の家族の介護の主な担い手である35~64歳の介護者800名、合計1600名方法:インターネットにて、2022年2月22日~3月8日に実施
【高齢者の生活充実度指数調査】について
対象:全国の高齢者65~80歳の男女800名、介護者:65歳以上の家族の介護の主な担い手である35~64歳の介護者800名、合計1600名方法:インターネットにて、2022年8月8日~9月5日に実施
このコラムは、3回シリーズ「心臓病と高齢者 ~意識調査からわかる心臓病への理解と対応~」の2回目となります。
1回目:息切れや動悸は『年のせい』だと思っていませんか?
3回目:家族の声に耳をかたむけて。