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心臓病と高齢者 Vol.1

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心臓病と高齢者 ~意識調査からわかる心臓病への理解と対応~vol.1 「息切れや動悸は『年のせい』だと思っていませんか?」

階段を上った後、ドキドキがおさまらない。いつもの散歩ルートなのに、息切れがする。疲れやすくなったので、外出の機会が減った。そんな日常生活の中で起こる変化は、「年のせいだからしかたない…」と、考えてしまいがちです。しかし、そのからだの変化は、心臓からの不調を知らせるサインかもしれません。

エドワーズライフサイエンス株式会社(以下、エドワーズ)では、全国47都道府県の65歳以上の高齢者と介護者計1600名を対象に心臓病のリスクと負担に関する2つの調査「心臓の健康に関する意識調査」と「高齢者の生活充実度指数調査」を実施しました。

その結果明らかになったのは、心疾患についての知識や情報が不足しているという事実です。十分な情報が得られていないと、病気への気づきが遅れたり、適切な治療のタイミングが遅れたりしかねません。

日本人の死因第2位なのに、あまり知られていない「心疾患」。

Heart disease
Heart disease
Heart disease

*「心臓の健康に関する意識調査」

心疾患はがんに次いで日本人の死亡原因の第2位1です。しかし、高齢者や介護者の皆さんが健康リスクとして最も懸念しているのは、「認知症」と「がん」で、「心疾患」をあげた方は調査対象者のわずか24%でした。「心疾患」は高齢者の重大な健康リスクとして、認識されていないことがうかがえます。

※1:2021 年人口動態統計(厚生労働省)死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口 10 万対)

Survey
Survey
Survey

*「心臓の健康に関する意識調査」

また、高齢者の67%が6カ月に1回以上血圧検査を受けているのに対し、聴診(心音を聴診器で聞くこと)を受けている人はわずか27%です。血圧検査に比べ、最も基本的な心臓の検査である「聴診」を受けている人が少ないのは、心疾患についての十分な情報が得られていないことが要因のひとつと考えられます。

心疾患は心臓に起こる病気の総称。

「心疾患」にまつわる調査結果をあげてきましたが、ここで改めて「心疾患」とはどのような病気なのか説明します。「心疾患」は心臓に起こる病気の総称で、主なものには「虚血性心疾患」「不整脈」「心臓弁膜症」があげられます。

「虚血性心疾患」は、動脈硬化の影響で血液の巡りが悪くなり、冠動脈が細くなったり詰まったりすることで起こる病気の総称で、「狭心症」と「心筋梗塞」の2つに大きく分けられます。

「狭心症」は、運動などにより心筋の酸素消費量が高くなった時に必要な血流が得られず、一時的な胸の痛みが起こるものです。「心筋梗塞」は冠動脈に血栓ができて詰まり、心筋に血流がいかなくなることで激しい痛みに襲われる疾患です。最大の危険因子は動脈硬化で、動脈硬化の進行具合は、血圧や脂質異常症の数値から確認できます。

「不整脈」は、心臓の心拍のリズムが速くなったり遅くなったりして、乱れる状態をいいます。健康な成人で不整脈が全くない人はいないといわれるほど、不整脈は一般的なものです。治療の必要のないケースも多くありますが、脈の激しい乱れや動悸を感じる場合は、専門医を受診しましょう。心電図や心臓超音波(心エコー)、心臓CT、心臓MRIなどの検査方法があります。

「心臓弁膜症」は、心臓にある弁に障害が起き、本来の役割を果たせなくなった状態です。心臓は右心房・左心房、右心室・左心室に分かれており、血液の流れを一方向に維持し、逆流を防止するために、右心室と左心室の入り口と出口にはそれぞれ“弁”があります。この弁が加齢や病気など何らかの原因で働きが悪くなり、血液の通り道が狭くなって狭窄が起こったり、血液の逆流が起こったりします。息切れや胸の痛み、動悸などが主な症状ですが、高齢の方は「年のせい」だと思い、症状と自覚していない場合もあります。心臓弁膜症の音(心雑音)は健康な心臓の音と異なるため、聴診でチェックすることができます。

ところで「心不全」を心臓の病名のひとつだと思っている方も多いのではないでしょうか。実は「心不全」は、心臓の機能が低下して、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態をいいます。心不全の原因や自覚症状はさまざま。虚血性心疾患、不整脈、心臓弁膜症、高血圧、先天的な心臓の病気などさまざまな疾患が原因となり、「心不全」が生じます。心不全になると心臓から十分な血液を送り出せなくなり、からだに必要な酸素や栄養素が足りなくなるので、息切れや息苦しさ、疲れやすさを感じるようになります。また、足のむくみもよく見られる症状です。これらの症状が見られた場合は、専門医の診断を仰ぎましょう。

心臓からのサインを見逃さないで。

「高齢者の生活充実度指数調査」では、高齢者と介護者の皆さんの約半数が、生活の充実度に影響を与える要因として「からだの健康」をあげました。心臓は、からだの健康を維持するために、とても大切な臓器です。日常生活の中で起こる息切れや動悸、胸痛といった“心臓からのサイン”を、「年のせい」として片付けてしまわず、かかりつけ医に相談したり、検査を受けたりするきっかけにしてみませんか。心臓が発してくれているサインをしっかりとキャッチして、これからも健やかな毎日を過ごしていくために役立てましょう。

Signs from heart
Signs from heart
Signs from heart

「心臓弁膜症サイト」心臓弁膜症チェックシート
こちらでは、簡単に心臓病(心臓弁膜症)のセルフチェックをおこなえます。
ぜひ、自分のからだの変化に気づくきっかけとしてお役立てください。

心臓の健康に関する意識調査】について
対象:全国の高齢者65~80歳の男女800名、介護者:65歳以上の家族の介護の主な担い手である35~64歳の介護者800名、合計1600名方法:インターネットにて、2022年2月22日~3月8日に実施

高齢者の生活充実度指数調査】について
対象:全国の高齢者65~80歳の男女800名、介護者:65歳以上の家族の介護の主な担い手である35~64歳の介護者800名、合計1600名方法:インターネットにて、2022年8月8日~9月5日に実施

このコラムは、3回シリーズ「心臓病と高齢者 ~意識調査からわかる心臓病への理解と対応~」の1回目となります。
2回目:心疾患は、早期発見が大切。定期的検査がカギに。
3回目:家族の声に耳をかたむけて。