プレスリリース
「高齢者の生活充実度指数調査」により、高齢者の生活充実度に最も影響を与える要因は「体の健康」と明らかに
エドワーズライフサイエンスが行った、1600人の高齢者と介護者を対象とした調査により、心疾患の症状や治療を軽視する意識が、診断・治療を遅らせている可能性があることが示されました。
エドワーズライフサイエンス株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:サージ・パンチュク)は本日、全国の65歳以上の高齢者800名とその介護者800名を対象に実施した「高齢者の生活充実度指数調査」の結果を発表しました。これは、心臓病と診断された方や心臓病の症状を経験した方を含む高齢者を対象に、生活の充実度と、充実度に影響を与える要因との関係を明らかにすることを目的とした独自の調査です。この調査により、高齢者の生活の充実にとって最も重要な要因は「体の健康」であることが明らかになりました。また、心疾患の症状や治療を軽視する意識が、高齢者が心臓病の診断や治療を受けることを妨げている可能性も浮き彫りとなりました。
調査は、800人の高齢者と、高齢者の代理で回答した800人の介護者を対象にオンラインで行われ、充実度に影響を与える4つの要因、「体の健康」「心の健康」「経済・環境の充実」「社会参加・交友関係の充実」で構成される独自の生活充実度指標を割り出しています。各要因は、生活の充実に大きく影響する要素を表しており、それぞれの要因に関連する事象を回答者が5段階で評価した結果で測定されます。本調査は、OECD「より良い暮らし指標(Better Life Index)」などの確立されたモデルと類似の要素を活用しつつ、特に高齢者の体の健康と医療に照らした生活充実度に焦点をあてて設計しました。
調査の結果、「心臓病の診断を受けたが、未治療」の回答者グループを除いた、4つのグループ全てで「体の健康」が生活の充実にとって最も重要な要因でした。
「診断を受けたが、未治療」の高齢者のみ、生活の充実について他の群とは違った考え方を示しており、唯一このグループだけが、「体の健康」(全体平均48%に対し32%)よりも「経済・環境の充実」(全体平均18%に対し49%)を重視しています。
■心臓病のような症状を経験しているが診断を受けていない高齢者、さらには心臓病の診断を受けた高齢者でも、自身の症状を軽視してしまい、診断や治療を受ける必要性を感じていない可能性がある
・「心臓病のような症状があるが、未診断」の高齢者およびその介護者の47%は、症状を「老化の兆候」と考えています。また、治療を受けている人でも、49%が「症状が日常生活に影響を及ぼし始めてから治療を受けた」と回答しており、病状が進行してからの受診となっていることがうかがえます。このことから、高齢者は自身の症状を軽視してしまい、適切なタイミングでの診断や治療を受けられていない可能性があります。
・「症状があり、診断を受けたが、未治療」の高齢者は「治療・手術をしなくても命には関わらない」と考える人の割合が最も多く、全体平均40%に対し63%にのぼります。心臓病は日本人の死因の第2位であるにもかかわらず、治療の重要性を深刻にとらえていない可能性があります。
出典:*厚生労働省2020 年人口動態統計
・「症状があり、診断を受けたが、未治療」の高齢者は、「問題なく移動(運転など)ができ屋外での用事を行える」と考える人が58%と最も多く、「仕事を通じて社会的な貢献をしている」と考える人も31%と最も多い結果でした。
心臓病は気づかない間に進行してしまう可能性があるにも関わらず、このグループは、日常の用事や仕事を行うことができるため、まだ治療を始める必要がないと安心していると推測されます。
高齢者と介護者で認識に差があり、5つの回答者グループ全てで、高齢者の生活充実度について高齢者自身の方が、介護者よりも高く評価していた
・本調査では、高齢者は自分自身、介護者は自分が主に介護する高齢者の、生活の充実度および健康状態を10段階のスケール(「1」=最もよくない~「10」=最も良好)で評価した結果に基づき、7~10と高く評価した回答者の割合を計算しました。
高齢者の生活の充実度について、介護者と比べ19%多くの高齢者が高く評価しました。同様に健康状態についても、介護者と比べ19%多くの高齢者が高く評価しており、高齢者の生活充実度や健康について、高齢者と介護者が異なる評価をしていることがわかります。
・「症状があり、診断を受けたが、未治療」の高齢者に関しては、生活の充実度を高く評価した高齢者が介護者よりも42%多く、健康状態においても高く評価した高齢者が介護者よりも26%多いことが分かりました。両項目で高齢者自身と介護者の見方に最も大きな差がありました。
この調査結果について、エドワーズライフサイエンス株式会社代表取締役社長のサージ・パンチュクは次のように述べています。「日本人の4人に1人が65歳以上となりました。高齢化が進む中、高齢者一人ひとりの健康寿命を延ばすための社会的な取り組みが求められています。当社は、人工心臓弁と血行動態モニタリングの世界的リーディングカンパニーとして、患者さんの健康で豊かな生活の実現に貢献したいという想いで活動しています。本調査は、あらためて健康の維持が日本の高齢者の毎日の生活を充実させることにプラスの効果をもたらすことを明らかにしました。私たちは、より多くの高齢者が心臓病の兆候と治療の効果を知り、健康で充実した人生を長く送ることができるようになることを願っています。」
また、東京都健康長寿医療センターの許 俊鋭 センター長は次のように述べています。「私は長年、成人心臓血管外科一般、補助人工心臓治療、心臓移植治療を専門として、診断と治療が患者さんの生活に良い影響を与えることを実感しています。多くの患者さんにとって、心臓病の治療を始めると日常生活が改善されます。今回の調査では、生活の充実感はさまざまな要因に影響されますが、健康と強く結びついていることが明らかになりました。また介護者と高齢者とで、認識に乖離があることは大変興味深く、高齢者がご自身の体の状態を過小評価している可能性も示唆していると考えられます。健康を保つうえで、とくに心臓を健康に保つことは大変重要です。高齢者の方々には、聴診を含む定期的な心臓の健診で積極的に心臓の健康を管理し、必要に応じて治療を受け、自らの人生を充実させることをお勧めします。」
■本調査の詳細は、ページ上下にある「PDF」リンクよりご確認いただけます。*
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