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プレスリリース

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経カテーテル大動脈弁治療用(TAVI)生体弁「エドワーズ サピエン3」、すべての症候性重症大動脈弁狭窄症の患者さんの治療選択肢としての承認を取得、開胸手術が可能な患者さんもTAVIが選択可能へと適応が拡大

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エドワーズライフサイエンス株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:ケイミン・ワング、以下エドワーズ)はこのほど、経カテーテル大動脈弁留置術(以下TAVI=タビ*1)に使用する生体弁「エドワーズ サピエン3」(承認番号:22800BZX00094000、以下サピエン3)について、開胸手術が可能な症候性重症大動脈弁狭窄症*2への追加の承認を取得しました。今後は保険収載を経て、全国のTAVI実施医療機関*3にて治療可能となる見込みです。

TAVIは開胸することなく、患者さんの血管からカテーテルで生体弁を心臓の中まで運び留置する革新的な治療法として、2013年にエドワーズが初めて日本に導入しました。それ以来、大動脈弁狭窄症の治療を必要とする患者さんにとって、新たな治療の選択肢として役立てられてきました。ただし導入当時、TAVIは新規性の高い治療法で、世界的なエビデンスも限られていたことから慎重な導入が図られ、これまで開胸手術が可能な患者さんは適応対象外とされてきました。
2019年に多施設国際共同試験であるPARTNER 3試験(外科手術低リスク患者さんにおけるTAVIと開胸手術の無作為化比較試験)*4の結果が報告され、主要評価項目においてサピエン3によるTAVIの開胸手術に対する優越性が示されたことから、すべての症候性重症大動脈弁狭窄症と診断された患者さんの治療選択肢として、同年に欧米諸国にて承認され、この度日本においても承認取得に至りました。TAVI用生体弁の中でもエドワーズの製品は最も広く研究されており、その対象患者数は世界65カ国以上の臨床試験やレジストリにおいて3万人以上に上ります。
現在までに、TAVIは世界中で65万人以上の患者さんの治療に役立てられています。

日本から多施設国際共同試験に参加した施設のひとつである帝京大学医学部附属病院の循環器内科教授、上妻謙先生は、次のように述べています。
「TAVIの臨床試験であるPARTNER 3試験では、サピエン3を用いて治療を受けた外科手術低リスク症例について、優れた結果が示されました。1年死亡率もしくは後遺症の残る脳卒中の発症率は開胸手術群の2.9%に対し、TAVI群では1.0%と良好な成績が報告されています。術後のQOL(生活の質)を示す評価項目である6分間歩行距離およびKCCQスコア*5において、 TAVI群は30日後に開胸手術群に比べて有意な改善を示し、1年後も同程度の改善を維持していました。TAVIは術後翌日からほとんどの患者さんが食事や歩行を開始することが出来ます。手術患者さんは入院期間が長くなると筋力が低下していくことから、治療を受けて短期間で自立した日常生活に戻ることができることは低侵襲治療の大きなメリットです。
この観点からも、すべての重症大動脈弁狭窄症の患者さんがサピエン3を用いたTAVIを治療選択肢として検討できることは、患者さんにとって意義のあることだと考えます。」

大動脈弁狭窄症は心臓弁膜症のひとつです。放置すると病状が進行し、心不全などへと発展して入退院を繰り返したり、あるいは動悸や息切れといった自覚症状がある患者さんにおいては5年間で10人に1人の確率で突然死が起こる*6など、患者さんの生活の質を著しく悪化させる疾患です。しかし病状が進みすぎる前に適切なタイミングで治療することで、再びすこやかな日常生活を取り戻すことが目指せる疾患です*7
大動脈弁狭窄症は症状が加齢に伴うものと似ていることから、老化と混同され気づかれぬまま悪化することが多く、未治療の患者さんが多数存在すると考えられています。日本においては、60歳以上の大動脈弁狭窄症の患者数は約284万人で、そのうち治療が必要な重症大動脈弁狭窄症の方は5人に1人(約56万人)と推定されています*8。一方、日本における年間の治療件数は約2万件程度*9にとどまっていることから、大多数の患者さんが治療の機会を逃した状態であることが想定されます。

エドワーズ代表取締役社長で、米国本社コーポレートバイスプレジデント日本・アジアパシフィック担当のケイミン・ワングは次のように話しています。
「エドワーズは心臓弁膜症が世界にもたらす負担を低減することを目指しています。サピエン3は、生体弁のパイオニアであるエドワーズの数十年に及ぶ経験と実績を基盤とし、日本では2013年に初めて導入したTAVI用生体弁をさらに改良した製品として、2016年から治療に使用されています。
高齢化が進む日本において健康寿命の延伸は喫緊の課題であり、この度、より多くの方にとってTAVIが治療の選択肢として加わることで、加齢に伴って誰もが罹り得る大動脈弁狭窄症への対策が進み、人々がすこやかに年齢を重ねる一助となると確信しています。
また、2020年3月に日本循環器学会の「弁膜症治療のガイドライン*10」が8年ぶりに改訂され、開胸手術とTAVI は同等に扱われるようになりました。治療法の選択においては、弁膜症チーム*11が患者さんの年齢や解剖学的因子に加え、患者さんおよびご家族の希望などを踏まえて、個々の患者さんに最も適している治療方法を判断するよう提唱されています。
エドワーズは循環器疾患と戦う人々へ、革新的な治療手段を提供することに全力を尽くすことをクレド(信条)とし、これからも開胸手術、TAVIを始めとした弁膜症治療をより良くする技術を生み出し、医療従事者とともに患者さんが治療を経てすこやかな日常生活を取り戻す助けとなるために、尽力してまいります。」

【参考】
1 TAVI(タビ)とは:Transcatheter Aortic Valve Implantationの略称。開胸手術をすることなく、カテーテルで患者さんの血管を通じて生体弁を心臓の中まで運び、留置する治療法。
2 大動脈弁狭窄症とは:心臓弁膜症のひとつで、心臓の大動脈弁に障害が起き、本来の機能を果たせなくなる病気。治療せずに放置すると心不全へと繋がる恐れがあり、患者さんの生活の質に著しい影響を与える。薬では根治できないため、人工弁置換術(開胸して心臓を止め、悪くなった弁を人工弁に取り換える治療)やTAVIなど介入治療が必要になる。参考:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/
3 参考:経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会ウェブサイト http://j-tavr.com/facility.html
4 Michael J. Mack, M.D et al. Transcatheter Aortic-Valve Replacement with a Balloon-Expandable Valve in Low-Risk Patients N Engl J Med 2019; 380:1695-1705
5 KCCQスコアとは:Kansas City Cardiomyopathy Questionnaireの略称。カンザス市心筋症についての質問表。心不全の特異的なQOLを100点満点で評価する指標で、点数が高いほど症状による負担が少なくQOLが良好であることを示す。
6 Taniguchi T et al. Sudden Death in Patients With Severe Aortic Stenosis: Observations From the CURRENT AS Registry
7 Phllipe G et al. Staging classification of aortic stenosis based on the extent of cardiac damage
8 De Sciscio P, et al. Quantifying the shift toward transcatheter aortic valve replacement in low-risk patients: A meta-analysis. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2017;10:e003287.
9 Committee for Scientific Aairs, The Japanese Association for Thoracic Surgery, Shimizu H, et al. Thoracic and cardiovascular surgery in Japan during 2017:
Annual report by The Japanese Association for Thoracic Surgery. Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2020;68:414-49.
10 弁膜症治療のガイドライン https://j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf
11 弁膜症チームとは:心臓血管外科医、循環器内科医、エコー医、麻酔科医、放射線科技師、臨床検査技師、臨床工学技士、看護師等からなる専門家チーム。

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